3月広島単独例会「価格競争に巻き込まれない逆張りの戦略」


3月例会ご報告「価格競争に巻き込まれない逆張りの戦略」
2014年3月19日(水)19:00~ 日創研広島営業所において3月広島単独例会が開催されました。
発表者/株式会社酒商山田 代表取締役 山田 淳二 氏

山田氏は大手保険会社に勤務されていましたが、お父さんが突然倒れられ、家業に戻って酒屋を継がれました。昭和63年から現在までの25年間。失われた20年で売上を4倍にした逆張りの戦略のストーリーをお話いただきました。
IMG_6751IMG_6745
●家業を継ぐ

昭和63年6月父が倒れ、実家に帰ってきた。当時売上は1億4 千万。普通の酒屋の3 倍あったが、その時の借入れ7000万、金利7%、銀行の借入れに頼る経営。給料も3分の1になり、貯金を切り崩して生活をしていた。これではダメだと考え、日本酒に特化、飛び込み営業をしないことを決める。
しかし、3年たっても、5年たっても熱意だけではなかなか思うように結果が出ない。いつしか不平不満を言っていた。

●価格競争に巻き込まれない
7年が経った頃、日本の酒をテーマとする酒屋を創ろうと決める。当時ビールはお客様を集める商材。1本売っても1円、2円という事もあった。これから価格競争の時代が来ると思い、「価格競争しなければいい」→「価格競争に変わる何かを見つける」→「その市場を創ればいい」と考えた。

●逆張りの発想
「逆張り」は時代の流れや大手の戦略の逆。「何が出来るか」決めたことを誰もが真似できないところまでとことんやり続ける。それが差別化とか異質化につながる。という確信を持った。
売りこみ営業をしない
売りこみ=他の顧客をとる。→取った・取られた→取ったら取り返す
売りこみをしないと、時間が出来る。勉強が出来る。個別の提案が出来る。既存のお客様に集中できる。口コミが広がる。
価格で勝負しない
価格で勝負すると、勝ってもまた取り返される。価格以外の購入決定要素は山ほどある。安心・安全・信頼・提案力・情報・企画力・情熱・知識・人柄・尊敬・共鳴・憧れ・ブランド・信仰などなど・・・
売れ筋を扱わない
売れ筋商品はメーカーが強い。売れ筋を一緒に創る。製造元・お客様・飲食店との絆が強くなる。需要を創る喜び・製造元が相談にやってくる。

山田社長の前職は大企業。
スローガンは「拡大・均衡・効率化」、対する酒商山田は「拡大しない、均衡を考えない、非効率化」

酒屋さんに+αし、地域密着するのがコンビニエンス。その反対は、酒屋を分解して単一のたね類に特化し、広域商圏とする商い。

仕事の仕方は変わらず、
①一所懸命 ②本業に詳しくなる ③和を重んじる
売るものは「酒」という「モノ」でなく、旨さ、喜び、感動という「コト」。
お客様は「神様」ではなく、「先生」「生徒さん」。だから大事にする、大切に育てる。

逆張りの戦略を実施することで、結果的にディスカウントストアやコンビニ酒屋さんとバッティングがなくなり、取引先や造り手との関係が良好になったり、貸し倒れがなくなり、安定した経営が出来るようになった。

●家業を継いで25年間の変化
経営形態が、個人から株式会社になり、売上が15,000万から69,000万。構成費もビールとタバコで90%だったものが、たばこは販売せず、ビールはわずか2%その他が98%。仕入先も100%問屋さんだったのに対し、現在は97%が醸造元に。

酒商山田の使命は「日本の伝統文化が育んだ世界に誇る『日本酒』を広く世に広めること」酒商山田の経営は「忽々(コツコツ)経営」
①地道に
②あせらず、粘り強く
③小さな満足の積み重ね。

今回の山田社長の発表は、価格競争に悩んでいる会員企業の皆様に、非常に勇気を与えるものであり、自社の経営戦略を見直すきっかけになる、とても素晴らしいものでした。

(広島経営研究会 広報委員会 中本真吾)

IMG_6752IMG_6758

前の記事へ 活動報告一覧へ